2007年6月27日水曜日

地球大学vol.54「森の惑星」稲本正

「環境月間」対談シリーズ:第4回
森の惑星-地球と人類の共進化に向けて

■講師 稲本 正 氏 (オークビレッジ代表、トヨタ自然学校校長)
工芸家。1945年富山生まれ。30年ほど前、原子物理学の研究者であった稲本さんは、「原子力や太陽光発電よりもはるかに進んだエネルギーシステムをもつ光合成植物との共生にしか人類文明の未来はない」と直感。木工・建築集団「オークビレッジ」を立ち上げる。人類と森がどのような共生関係をデザインしてきたかを調査するために世界の森を訪ね歩き、数々の著作がある。

■講義内容

人間は一日に
空気を20kg吸い
水を2kg飲み
食料を2kg食べる

空気、水、食料が粗悪になれば、身体の調子が悪くなって当たり前
いい空気、きれいな水、おいしいご飯を食べれば、身体の調子が悪くなる、これも当たり前

アマゾンには紙がない
印刷した紙でも、余白があればびっしり書く
紙が豊富にあるのは先進国だけ
発展途上の国では学校で紙がない

ネット、WEBの可能性
地球の裏側とつながる、地球の裏側が可視化される
ウェブの中の森と山の森
全国で植林・育林を行うNPOドングリの会のホームページで「ヴァーチャルの森」コンテンツを展開

Japan と China の語源について
Japan(日本)とjapan(漆器)
China(中国)china(陶器)
意外と知られていないこと
日本の漆は現在、90%を中国から輸入している
日本の職人が本物の漆を見分けられなくなってきている

中国、東北地方が危ない。農業用水に使用するため、黄河が信濃川に匹敵するくらいの長さ渇水している。黄砂の大量発生。アラスカまで届く。一方、西南の海岸部や沿海部では大洪水が起こっている。中国の森林、公証では13%と発表しているが、実際は10%を切っている。

森林調査のため、世界を歩いてわかったこと。
賢い人間と、アホな人間の割合はどこも一緒。

温暖化について
温暖化はマイルドに均質に影響するものではない。不均質に局所的に影響する。シベリアのタイガ、永久凍土が溶け木が倒れメタンガスが大量に発生。中国内陸部での異常な気温の高さ。

CO2濃度、180ppm~280ppmで安定してきたものが、現在は380ppm。もう取返しがすかない状態。学生の頃に気づいていたとのこと。だから行動した。ゴア、遅いよ。でも、ガンバレとのこと。

世界一年寄りの木は樹齢4780歳
世界一高い木は200m樹齢2000年シャーマン将軍
木は生きている、ビルが1000年、2000年持つか?
東大寺、法隆寺、木造建築の叡智

木、70%が水
200メートルの木、てっぺんまで自らの力で水を運ぶ、ありえないくらいすごいこと
森は水の柱が立っていると思う
森の中を歩くのは、あたかも海中を彷徨い歩くように思うとのこと。


性能がいいのは、昆虫、植物
哺乳類は下等
昆虫、蝶、飲まず食わずで何千キロも旅をする
人間、3日も飯食わなきゃどうなる?

カナダ国旗
赤いメイプルシロップの木
先住民が大切にしてきた木
温暖化のため、季節がずれ、いいメイプルシロップがとれていない

コスタリカ
鳥とアボガドの共生関係
ある鳥が食べたアボガドの種しか発芽しない
ある鳥は手塚治虫の火の鳥のモデル
コスタリカは中立国として日本が学ぶべき制度もたくさんある国

日本の森林
国土の7割が森
だが、自然林は2%
あとは人工林、二次林
単純に言うと戦後、98%の森に手を加えたことに
手を加えることが必ずしも悪いのではない
放置していることが問題

新技術の伝播過程と顧客層

環境問題はここまで来て、やっとアーリーアダプターの段階。もう時間がない。はやくこの危機を浸透させて、共生のビジョンと具体的ソリューションを展開して欲しいと願われていた。

共生関係の役割と進化(山村則男)
種間関係の中で、競争や捕食に比べ、これまで無視される傾向にあった相利共生関係
生物A、Bは競争や害をおよぼす関係よりも、相互に利のある共生の関係が大きいのでは
CO2を吸収する木は何だ。

森をきちんと使いながら共生していくことに、
人類文明の未来が託されている

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

勉強になったよ〜。ありがとう!

コスタリカの「ある鳥」ってケツァールのことかな?
ケツァールが食べないと、アボカドが発芽しないの?

けっこう幻の鳥なんだよね。
私はコスタリカに10日間いたことがあるけど、見れませんでした。

ふく さんのコメント...

marujunさん

そうです、ケツァールです。
たしかに、アボガドはケツァールに食べられないと発芽しないというのは、変ですね。ちゃんと調べました。訂正します。

アボガドと同じ科の木で、その木の実をケツァールが呑み込んで、種だけを吐き出すそうです。吐き出された種は、果肉ごと落ちた実よりも発芽率が高く、また、種を遠くに運んでもらうことができます。

ということでした。